2019年11月1日貨物自動車運送事業法が改正
輸送の安全に係る義務の明確化
トラックの定期的な点検・整備の他、トラックの安全性を確保するため国の基準に沿っておこなわなければならないことが法律上明確化
国の定める基準とは?
- 道路運送車両法に従って保安基準に適合するようトラックを維持
- トラック構造、装置、使用条件(道路条件、走行距離等)を考慮して定期点検の基準を作成し、点検・整備する
- 点検・整備時、記録簿に記載・保存する
- トラック使用の本拠ごと、点検・清掃のための施設を設けること
- 選任された整備管理者(新たに選任した者、最後に研修を受けたのが年度の翌年度末を経過した者)は研修を受けること
事業の適確な遂行のため守るべき義務の新設
【車庫の設備・管理】
- 原則として営業所に併設してあること
- トラックと車庫の境界やトラック同士の間隔を50cm以上確保し、すべての車両を収容できること
- 車庫として使用してされてない部分と明確に区別されていること
- 使用権原を有していること
- 賃借物件の場合、2年以上(あるいは自動更新)の賃貸借契約が結ばれていること
- 都市計画法等関係法令に反しないこと
- 前面道路については、車両制限令に適合すること
健康保険法等により納付義務を負う保険料等の納付
【納付義務にある保険料などの支払能力】
- 健康保険法・厚生年金保険法・労働者災害補償保険法・雇用保険法によって納付義務のある社会保険料や労働保険料を支払う能力があること
社会保険等の未納付:20日車両の使用を禁止するという処分 【新設】
【貨物の運送に関する損害賠償の支払能力】
- 自動車損害賠償責任保険または、自動車損害賠償責任共済に加入すること
- トラック台数が100台以下の事業者は一般自動車損害保険(任意保険)などに加入すること
対人:限度額無制限のもの
対物:限度額200万円以上のもの
危険物を輸送の場合、対応する適切な保険へ加入すること。
損害賠償支払能力確保義務違反: 20日車両の使用を禁止するという処分【新設】
社会保険等の未納付、トラック台数が100台以下の事業者は任意保険などに加入しないと20日車両の使用停止処分になってしまうので気を付けよう。
約款の認可基準の明確化
「運送約款」には運送の対価としての「運賃」と運送以外のサービス(客先での荷待ちや荷役作業等)の対価を区別し受け取ることが明確に書かれていなければならない。
事業許可の基準の明確化
各営業所に配置するトラック台数を変更する場合事前に届出を行うだけでしたが、改正後は国の定める基準に適合しない場合、変更の許可が受けれない。
営業所ごとの最低車両台数(5台)を下回る場合(霊柩、一般廃棄場所、島しょは除く)
減車によって5台を下回る場合
→災害等により車両が使用不可となり、これに代わる他の車両が確保されるまでの間におけるものである場合に限り認可される。
増車しても5台を下回る場合
→5台以上配置するための適切な計画を有している場合に限り認可される。
法定遵守が十分でないおそれがある場合に増車を行おうとする場合
- 密接関係者が許可の取消しを受け5年を経過しない者である場合
- 変更に係る営業所の行政処分の累積違反点数が12点以上である場合
- 変更に係る営業所が、申請日前1年間に地方実施が行う巡回指導で「E」評価を受けている場合
一定の規模以上の増車を行おうとする場合
増車する車両数が、申請日か起算して3か月前時点の営業所の配置車両数の30%以上であり、かつ11以上である場合
自動車の数に関する事業計画変更認可違反:10日車両の使用を禁止するという処分【新設】
欠格期間の延期等
法令違反して、事業許可の取消を受けた場合、再参入することができない期間(欠格期間)2年間から5年間事業が行うことができなくなりました。
処分逃れを目的にした自主的な廃業の場合は、事業許可の取消を受けないため、すぐ事業再参入できましたが、事業許可の取消と同じく5年間、事業許可を受けることができない。
密接関係者(親会社、グループ会社、子会社等)が許可の取消処分を受けた者が5年以内に事業許可の取消を受けている場合、新たに事業許可を受けることができなくなりました
荷主の配慮義務の新設
荷主側でも労働環境の現状、労働時間のルールを把握し、トラック事業者がコンプライアンスを確保できるように、必要な配慮をしなければならない。
荷主勧告制度の強化
トラック事業者による法令違反に対し行政処分される場合、荷主の行為に起因するものと認められる時は、荷主に対し、再発防止のための措置をとることを協力要請、警告、勧告するもの。
ドライバーの労働時間のルール違反 過労運転防止措置義務違反 道路法(車両制限令)違反 車両の総重量、軸重等の一般制限値、許可値を超える車両運行 道路交通法違反 過積載、速度超過等
国土交通大臣による荷主への働きかけ等の規定の新設
荷主に対し、一定の場合国土交通省が関係行政機関と協力し働きかけ等を行うことができるようになった。
標準的な運賃の告示制度の導入
国土交通省が、標準的な運賃を定め告示ができます。
今回の改正では、輸送の安全に係る義務、約款の認定基準、事業許可の基準等が明確化された。また欠格期間は2年間から5年間になり制度も少し厳しくなりました。社会保険等の未納付、損害賠償の支払能力義務違反が20日間の車両使用停止になるので気を付けましょう。荷主対策として制度ができましたが、運行など運賃など交渉など現状厳しいと思いますが、これから働き方改革、人で不足など、多くの問題があるので、交渉が必要となってくると思います。
コメント